2013年3月23日土曜日

デザインの背景に「配慮」あり

日経デザイン4月号。特集は『リニューアルの極意』です。ブランドを一から立ち上げることが「新築」だとしたら、リニューアルは「リフォーム」。リフォームと同様に、すでに柱の位置(市場でのポジション)などが決まっているので、デザインを慎重に行わなければなりません。
カルビーの「フルグラ」。どこがリニューアルしたか分かりにくいですが、2009年(右)から2011年(中央)にかけて、商品名をリニューアルしています。フルーツグラノーラを「フルグラ」としたことで、圧倒的に呼びやすくなり認知もされやすく、売上が1.6倍になったそうです。要因はこれだけではないと思いますが、商品のネーミングは、戦略のひとつだと言えます。 ポイントは、2011年の時点で、フルーツグラノーラの既存の顧客がかなりいたと思われるので、新パッケージで顧客が迷わないように、デザインは多少の変更にとどめたことでしょう。
こちらは、Fits。これでもかというぐらい(毎年1回以上)パッケージをプチリニューアルしています。一見ムダな投資に思えますが、そこには戦略があります。Fitsの中心顧客層は、10代後半〜20代前半。若い世代をターゲットにしているだけに、「そんなガムが流行ったね」と、すぐに飽きられてしまう危険性があります。その対策として、パッケージを常に変化させることで“アクティブ”な印象を発信でき、若い世代を飽きさせないという戦略があるようです。

以前、小山歯科医院さんの記事で書きましたが、リニューアルのデザイン提案では、これまでの歴史や意志をしっかりと汲む必要があります。その上で、プラスアルファの要素を組み入れる。そのような繊細なスキルが求められると感じています。

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