最近、デザインの打ち合わせで、「外山さんがデザインを考えるんですか?」と、驚かれることが多い。もちろん、回答は「はい、考えます。」なのですが、実はこのような問いかけの中に、広告・デザイン業界が抱えている問題がひそんでいるのです。
まず、皆さんがデザインを発注するとしたら、選択肢は、広告代理店、デザイン会社、印刷会社、ネット注文、いずれかに当てはまると思います。しかし、上記の中で「デザインする人と、直接打ち合わせができる」という条件に当てはまるケースは、実は少数派なのです。多くの案件を手がける、広告代理店や印刷会社は、規模の大小はあれど組織であり「営業」の方がいます。チームを組むプロジェクトなど、クリエイターが打ち合わせに同行することもありますが、基本的には営業の方が窓口となります。
そのような場合、打ち合わせの「聞き手」と、デザインの「作り手」は違います。しかし、打ち合わせでは、話す表情やしぐさなど、言葉だけでは伝わらない微妙なニュアンスが含まれています。営業からクリエイターに、よほど事細かく状況や要望を伝えない限り、そこに誤差が生じてしまうのです。デザインの打ち合わせは、ただ用件を聞くのではなく「人の想いを預かる場」です。想いは目に見えませんから、神経を集中して、言葉や表情から感じ取る必要があります。つまり、話を聞くことにも「精度」があるのです。
依頼者としても「デザインする人に直接話す」と、自分の想いが伝わらずにモヤモヤせず、労力を省けます。営業→クリエイターと伝言ゲームのように、本来の主旨が伝わらずに期限だけが迫って、満足いかないものを作ったケースも耳にします。組織が悪いというわけではなく、聞くこと、伝えることにも「精度」があり、デザイン業界に限らず、伝言ゲームはいたるところで、誤差を生んでいるのではないのでしょうか。こうしたことから、コミュニケーションツールの発達もあり、近い将来、「直接伝えること」の価値が見直されてくるのではないかと思っています。
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2013年1月24日木曜日
2013年1月19日土曜日
名刺の未来
名刺交換のときに、名刺をきらしていて「あっ、しまった!」 と焦ったこと、皆さん一度はあるのではないでしょうか。経歴だけでなく、趣味まで把握できるFacebookの登場で、 たとえ名刺をきらしていても「Facebookやってます? じゃあ後から友達申請しておきますね。」と、 名刺代わりに使われるようになりました。
そもそも、 たった1枚のカード(名刺)よりも、 Facebookやホームページの方が、 よっぽど相手のことを知ることができますよね。それでも、名刺交換は(今のところ)なくならないし、 少しでも自分の考え方が伝わる場にしたいので、 今の時代にマッチした名刺の在り方を、考えることにしました。
最近では、サービスが多様化し、肩書きだけでは伝わりにくい仕事が増えてきています。そこで、「ショップカード」 のように、ダイジェストで仕事を紹介するツールがあったら便利で は?と考え、アイデアを練りました。仕事内容をCMのように、30秒ぐらいでパパッと伝えられるカード。名刺というよりも「プロフィールカード」です。
ということで、まずは自分の名刺をリニューアルしてみました。
形は、ショップカードでよく見かける「三つ折カード」です。 三つ折にすると名刺と同じサイズになります。表紙は、名前、 会社名、キャッチコピー。これなら、 あとから名刺を整理するときに「どんな顔だったかなぁ」 と思い出せないことは、ないでしょう(笑)※写真撮影は、大野カメラワークスさん
開くと「中小企業のブランディング」という文字。 自分が何を軸にしているのかを、シンプルに表しています。 中面では、ブランディングについて、 3つのカテゴリーで整理してあります。
まず、こと。商品の長所や独自性に気づき、 ブランディングに最も大切ともいえる「ストーリー」 を構成します。またプロジェクトで、初めに共有する価値観「コンセプト」を考えます。
そして、もの。商品の形、色、バリエーションなど、「デザイン」の側面からアドバイスします。 また、誰に売るのか、どこで売るのか、 といった販売方法についても考えます。
最後に、つたえる。ロゴマークやパンフレット、パッケージや ホームページなど、どんなツールを使って「こと、もの」を伝えていくのか、ご提案します。
さて、こうして出来上がったプロフィールカード(裏面は、 連絡先ですが、個人情報も記載されているので、 ここでは割愛させていただきます)。
それでは、名刺交換をイメージして自己紹介してみます。
(名刺を渡して名前を名乗り、相手から「どんな仕事をしているんですか?」 と尋ねられたあと)
「聞きなれないかもしれませんが、 ブランディングという仕事をしています。こと、もの、つたえる。 3つの分野で、中小企業のサポートをさせていただいています。 下請けが主だった中小企業が自社製品を作ったり、 農家の方が自分たちの手で野菜を売るような時代になりました。 優れたものを作ることには自信があっても、販売することに関しては不慣れな会社がとても多く、 デザインの側面から様々なアドバイスをさせていただいています。 もしご興味ありましたら、お時間あるときにでも、 ホームページをご覧ください。」
はい、以上でちょうど30秒です。
すでに何人か手渡した方には、 「分かりやすい」「印象に残る」と、おおむね好評です。 しばらく使ってみて、これからお客さんにもプロフィールカード方式の名刺を提案してみようかと思います。
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そもそも、
最近では、サービスが多様化し、肩書きだけでは伝わりにくい仕事が増えてきています。そこで、「ショップカード」
ということで、まずは自分の名刺をリニューアルしてみました。
開くと「中小企業のブランディング」という文字。
まず、こと。商品の長所や独自性に気づき、
そして、もの。商品の形、色、バリエーションなど、「デザイン」の側面からアドバイスします。
最後に、つたえる。ロゴマークやパンフレット、パッケージや
さて、こうして出来上がったプロフィールカード(裏面は、
それでは、名刺交換をイメージして自己紹介してみます。
(名刺を渡して名前を名乗り、相手から「どんな仕事をしているんですか?」
「聞きなれないかもしれませんが、
はい、以上でちょうど30秒です。
すでに何人か手渡した方には、
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2013年1月10日木曜日
ザ・ブセナテラス
沖縄・名護市にある『ザ・ブセナテラス』に滞在してきました。
兄が予約してくれたので、珍しくホテルの下調べはしてなかったのですが、ホテルランキングでTOP10に入るほど、全国でも指折りのホテルのようで、その評価のゆえんは、到着してすぐに感じられました。
ホテルの内外がゆるやかにつながっていて、自然の中にホテルがある一体感。この感覚は、 京都のお寺で、庭との一体感を感じることと極めて似ています。 風や香りなどを感じることで、五感が澄みやかになることは、 リラックスする上でとても大切だと思います。
漢字で「寛ぐ=くつろぐ」と書くように、自然に「寛容」であることは、本能的に心地良いですね。非日常にひたることで、気分が静かに高揚すること。また、身体を非日常におくことで、 身体の一部である脳がリフレッシュされること。リゾートとは、そのための休息の場所だと感じました。
スタッフの気配りも細やかで、優雅な立ち振舞いが印象的でした。自分の仕事にプライドを持ち、自分たちが何を求められているか、正確に分かっていると感じました。17時を過ぎるとベンチに座っていた男性がおもむろに立ち、ソプラノ・サックスを演奏し始めました。こうしたさりげない演出が、何ともゆるやかな時間をかもしだしています。
ホテルのロビーの大きな窓は夜でも開放されていて、やわらかい風から自然とのつながりを感じられます。また、日本の高級旅館と通じるところが、木の使い方。大理石やコンクリートだけではなく、レストランのディスプレイなどで木が多く使われています。滞在者がゆったりとくつろげる空間には、やはり木のぬくもりは欠かせませんね。
夕食のあとは、敷地内にある(フロントから徒歩5分ほど)の泡盛BARへ。泡盛マイスターが、好みに合わせた泡盛をチョイスしてくれます。泡盛は、熟成するのには度数が35度以上が適性。20年以上寝かせると独特のコクが出て、まるでカカオのような香りがする泡盛がある。ということで、30本限定(熟成20年)でなくなると終わりという希少な泡盛「先代」(与那国島・入波平酒造・43度)を飲ませていただきました。
2分ほどで香りが立ち始め、10分後にはカカオのような芳醇な香りがしてきました。飲み口はまろやかで、ほのかな香りがリラックス感を誘います。なんと「黒糖をかじりながら飲むと格別」と泡盛マイスターからおすすめがあり、黒糖をつまみに。思いもよらない組み合わせでしたが、やはり地元のお酒と地元の美味は合いますね。クセになりそうです。
アメリカのシリコンバレーで、フラッシュメモリのエンジニアをしている兄と、泡盛を片手に「これからの日本や仕事観」について語り合ったことも、とてもいい想い出となりました。アメリカ生活が長い兄は、常に広い視野で世界を見ているので、自分にとっては昔から身近な良い教材です。今回も一緒に長い時間を過ごすことで刺激をもらいましたので、今後の自分の進化に役立てたいと思います。
みなさん、2013年もどうぞよろしくお願いいたします。
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