2013年2月27日水曜日

カギヤビル|床張り工事

 1月から事務所を借りている「カギヤビル」の床張り工事が、完了しました。以前、この部屋には生花教室があり、石畳のような床の部分があったりとコンクリートがデコボコでした。もし素人だけで床を張ったら、おそらくボールが転がるような床になっていたでしょう。

今回お任せした大工さんは、磐田市の住建太子光さん。以前にパンフレット制作のご依頼を受け、デザインさせていただいた縁です。「新築・リフォーム・雨漏り・サッシ替えなど・・・住宅に関わる手仕事は、何でもご相談ください。丁寧な仕事で、手は抜きません!」とおっしゃる通り、仲間の大工さんと3人で、1日で床張りを仕上げていただきました。
まずは調整束(ちょうせいづか)を使って、床のレベルを水平を合わせて、土台の木を取り付けます。はい、この時点で素人には無理ですね(任せて良かった・・)
次に、下地。28mmの合板を敷き詰めていきます。
その上に、36mmの杉板を乗せていきます。この材は、このために格安で仕入れていただいた二等品です。ここからは、細かな手仕事をざっとご紹介。
細かいところまで、丁寧にカンナで仕上げてくれました。
不規則なラインでもきっちりと敷き詰めてくれて、気持ちがいいです。
13cmの小上がりで舞台のようになっています。
敷き詰められた床は新しい表情を部屋にもたらし、夕暮れ時も相まって、なかなか美しい色合いです。これからデンマークのヴィンテージ家具や、プロダクトデザイナーがデザインしたテーブルなど、続々と家具が入ってくる予定です。

今回、プロに任せるとは「知恵」と「技」と「時間」をいただくということだなぁ、とつくづく実感しました。専門家ならではの経験則や職人技はもちろん、作業をしていただくことで、自分にも「時間」が生まれます。今日も床張り工事をしている間、撮影を2件、打ち合わせを1件もでき、本業に集中することができました。何事でもチャレンジする精神を忘れないことも大切ですが、これまでご縁のあった方を頼り、任せることも大切ですね。

このように手のかかる?場所に事務所を持つことで、こうした「気づき」があることが、何よりも事務所を構える付加価値だと思っています。いつもはブランディングの専門家として、仕事を依頼される側です。依頼者の気持ちになったこの経験を、これからの仕事に活かしたいと思います。

2013年2月23日土曜日

静岡県の伝統工芸品

DMをデザインさせていただいた「静岡県の郷土工芸展」が、2月21日から始まりました。以前、パンフレットの制作にも携わらせていただいたご縁もあり、静岡県の伝統工芸には少し詳しくなりました。

たとえば、静岡市には1000年以上も前から信仰を集めている浅間神社(せんげんじんじゃ)と呼ばれる、由緒正しき神社があります。江戸時代にその神社を造営する際に、全国から優秀な職人が集められました。職人たちは、造営が終わった後も駿河の土地に住み続け、それぞれの技を磨いたことで、「漆器」や「指物」といった伝統工芸が、今の静岡市に根付いたとされています。

職人というと、緻密な「技」に目がいってしまいがちですが、その背景にある歴史や文化、つまり「ストーリー」を知ることで、現代と過去が「点」ではなく、現代を過去からの「線」としてとらえることができます。

そして、線としてとらえることができれば、現代の生活における実用面や、デザインの問題点が見えてきたりします。とかく伝統と革新は、合わせて語られることも多いかと思いますが、ただ新しいものを求めるのではなくて、そもそものルーツを理解することで、商品のストーリーが浮き彫りになり、魅力に深みが出ることでしょう。まず何事もルーツを探ること。ブランディングする上で、大切な心掛けのひとつだと思っています。

2013年2月17日日曜日

気づかいのクオリティ


以前から感じていましたが、東京では紙のポスターが減って、デジタル化がかなり進みましたね。特に東京駅や品川駅は、相当な割合でデジタルサイネージ(電子看板)です。少し前のエントリー(印刷物は、無くなるのか)でも書きましたが、いまは紙からデジタルへの転換期なので、こうした流れを実感として把握することは、時代に合わせたブランディングを行うためにも必要だと考えています。

紙のポスターや看板でも、デジタルサイネージでも、「広告」という点では変わりません。しかし、デジタル化をすることで、朝・昼・晩など、時間帯で表示を替えることができます。また、静止画だけでなく、動画で表現できるのもデジタルの大きなメリットといえます。ポスターを差し替えるための人的労力も、デジタルの方が少なくて済むでしょう。

と、デジタル化のメリットを挙げましたが、ここまでは広告を掲載する側の話。それでは、受け手である「広告を見る側」は、どうでしょう。おそらく認識としては、ポスターを見るというよりは「テレビCM」を見るような感覚に近いのではないでしょうか。
左が紙のポスター、右がデジタルサイネージです。光の当たり方も影響していますが、発色だけを見ても、目に入ってくる強さが違います。ブランディングの観点からすると、露出が増えるとは、何かしらの印象を持つ人が増えるということです。しかも、受け手側にとっては「日常」や「景観」に影響を及ぼすので、不快な印象を与えてしまっては、マイナスなイメージが増大してしまいます。

いかにも広告らしい表現に関心すら持ってもらえない昨今では、デザインのクオリティに加えて、「気づかいのクオリティ」というか、発信側の都合だけではなく、受け手側の生活に、より配慮した表現が問われることになりそうです。

紙でもデジタルでも、クオリティは変わらず重要なことだと思うので、媒体に変化があっても、そこは変わらずということですね。人は便利な方に流れやすいのが世の常だとすれば、デジタル化の波はおそらく止まりません。紙とデジタル。経営者にとっても、デザインの制作者にとっても、この2つの使い分けが、今後10年の明暗を分けることになることでしょう。

2013年2月7日木曜日

クラフト見本市2013

今日(2月7日)から開催されている『クラフト見本市2013』。全国から作り手・使い手が120組ほど集う展示販売会です。作り手の想いを直接聞きながら、手仕事の日用品に触れることができるのが最大の魅力です。今回、浜松から出展している遠州綿紬・ぬくもり工房さんに同行して、展示等の監修をしてきました。

まず、開催場所の自由学園・明日館。フランク・ロイド・ライトの設計による建物であり、重要文化財に認定されていて、外観からも美しく、館内で過ごすだけでどこか落ち着く心地よさを感じる空間でした。
主催者の方が、日本では画一的な製造業に押されてきたとき、産地の職人たちが試行錯誤を重ね、何とか良いものを作ろうと頑張ってきた。それを「クラフト」と呼びたい。と強い言葉で語っていた姿が印象に残りました。作り手の「温度」。つまり、熱い想いがクラフトには宿っているのです。
初日はバイヤー、ショップ関係者のみの来場。知られざるクラフトを発掘すべく、さまざまジャンルの方が訪れ、熱心に話に耳を傾けていました。
クラフト食堂では、出展者が作ったテーブルや器で、ランチをいただけます(要予約)。こうして実際に使ってみることで、作り手の意図や日用品としての機能性などを感じることができます。
開催前日には、出展者が一堂に揃って交流会が開かれました。北海道から九州まで、自己紹介を交えながら出展への思いが語られました。掛川のストールブランド・福田織物さんや藤枝の家具ブランド・kitomaさん、大井川葛布・静岡壁紙工業さんなど、静岡県の出展者の方とも交流をすることができ、とても有意義な時間となりました。
2月8日(10時〜20時)・9日(10時〜17時)は、いよいよ一般公開です。展示販売会なので、もちろんその場でお求めもできます。日本のクラフトを一堂に見ることができる良い機会なので、ご興味ある方はぜひ足をお運びください。

【55634ホームページ】http://55634t.com


2013年2月2日土曜日

ぬくもり工房|パンフレット

2月7日(木)・8日(金)・9日(土)に東京で開催される「クラフト見本市2013」に向けて、遠州綿紬・ぬくもり工房さんのパンフレットが完成しました。

表紙は、いたってシンプル。ロゴマークと同様に、伝統をほのかに感じさせながらも、古めかしくないデザインに仕上げました。実はここに至るまで、いくつものパターンを考えるなど試行錯誤しました。100枚ほどの写真の中から、表紙にふさわしい写真を選ぶのにも時間がかかりましたが、表紙らしく、印象に残るデザインになったかと思います。

表紙は、手に取る人が直感的に「あっ、なんかいいな」と感じる佇まいが理想です。冊子の大きさは、A5サイズ。手に取りやすさも重要ですね。
中を開くと、ぬくもり工房さんの企業理念「手のぬくもりは人から人へ」。伝統を受け継ぎ、人と人とのつながりを大切にする会社ということで、以前に僕が自主提案したコピーを採用していただきました。
次に、職人さんによる全工程を分かりやすく紹介しています。ひとつひとつの工程に興味を持ってもらうことも大切ですが、全体を見て「人の温度」のような手作り感を感じてもらえればと思っています。
「日本の縞」として、代表的な縞を紹介。左側に掲載されている6つの柄は、糸の色合いから縞の幅まで、デザインを監修しました。
四季を感じる柄をプロデュースするためのイメージマップ、風呂敷のような包み方、生地を無駄なく使うためのハギレ20種の紹介です。
ぬくもり工房さんの自社ブランド「つむぐ」。伝統の風合いを現代に生かしたアイテムをご提案しています。百貨店や新東名のサービスエリアなどで取り扱いがあります。
最後のページは会社概要で、以上で全12ページ。中綴じ冊子という製本方法で、4ページずつ増やせる仕様なので、今後も商品やコンテンツを追加できるように配慮しています。

さて、いよいよ今週となりました。7日(木)はバイヤーやプレスのみに公開、8日(金)・9日(土)は一般公開、展示販売となります。ひと味ちがう日本のクラフトが一同に集う見本市です。ご興味ある方、ぜひ足をお運びください。