2012年9月27日木曜日

短期的なブームと長期的なファン

ブランディングの相談を受けるときに、経営者の方から「ヒット商品を出したい!」と言われることがあります。ヒット商品は、売上を急激に上げる「特効薬」のように期待されているケースが多いように感じます。

しかし、もしヒット商品による急激な売上の増加を目指すのであれば、それはいつか「ブーム」として終焉し、急激な売上の減少を招くことにつながります。たとえば、一発屋と揶揄される芸人さんたち。テレビでいきなり露出が増えたかと思えば、一年後には見なくなる。このような「ブーム」は、商品や会社にも当てはまります。

一時的な売上よりも、長期的なファンの創出。すぐに効果が見えなくても、じわじわとファンを増やし、末永く売れる意味でのヒット商品。それをつくることがブランディングの役割です。

長期的なファンをつくるためにはストーリーが大切であり、そのストーリーを世の中に伝えていくことも必要です。1人でも多くのファン(顧客)をつくるストーリー。そのストーリーは、それぞれの経営者、社員の「志」にしか宿らないと日々感じています。そして、それをデザインやコピーで“見える化”して、世の中に伝えることが僕の指命だと思っています。

2012年9月20日木曜日

フラックス世代

アメリカを中心に「フラックス世代」と呼ばれる人たちが誕生している、と先日ニュースで知りました。フラックス(flux)とは「流動、絶え間ない変化」を意味し、未来が不確実な世の中で、流動的に自分のポジションを変えて、かつ楽しめる人のことを指すようです。

もうひとつの特徴は「未来志向」であること。過去のビジネスモデルや慣習にとらわれず、自分のスキルを活かして柔軟にベストな方策を決める。そして、フラックス世代は、IT系や広告業界に多く存在し、実は自分も「フラックス世代だよね」と言われたことがあります。

でも、そもそもいつの時代も「未来は不確実なもの」ですよね。そして、「自分のスキルを活かしてベストな方策を決める」のも、いつの時代もしかりだと思います。ただこうして「フラックス世代」と呼び名がつくことは、「草食系男子」のように1つの時代の流れでもあると感じています。

僕の周りの尊敬できる「フラックス世代」の方たちは、そのような呼ばれ方をされなくても、淡々と粛々と、自分のスキルを活かして社会に貢献しています。そして、何より自分の人生を楽しんでいます。名は体を表すけれど、本当に大事なのは中身。それを忘れずに日々前進あるのみです。

【ホームページ】http://55634t.com

2012年9月17日月曜日

社名の由来|55634

スキルがあって小回りがきく「個人」が活躍する時代。半年先さえ読めない今の世の中では、変化に対して俊敏に反応して舵を切れる「スモールビジネス(個人の力)」の需要が増してくると思います。法人だから信用できる、という社会認識も、いずれ変わってくることでしょう。

さて、そうした中で僕は「株式会社55634」という法人として起業をしました。個人で起業をするわけだから、個人事業主という選択肢がセオリーだと思いますが、デザイン業界では法人でないと受けられない案件も存在するので(どの業界もそうだと思いますが)、迷わず法人にしたわけです。

株式会社55634。数字だけの会社名は、55634=ココロザシという語呂が由来です。目に見えないクライアントの「志(ココロザシ)」を、デザインやコピーで「数字(55634)」のように分かりやすく伝える。そのような想いを込めています。

先述のとおり、会社名より個人の信頼に仕事が集まる時代だと感じているので、社名の由来も自分の中にだけ留めておいても良かったのですが、うれしいことに名刺を差し出すたびに尋ねられるので(数字だけの会社名が珍しいみたいで・・)ここに由来を記しておきました。

2012年9月13日木曜日

商品を最も輝かせる方法

デジタルカメラが普及して以来、ご自身で商品撮影をおこなう方が増えました。雰囲気を出しやすい手軽な一眼レフカメラが登場してからは、その傾向は強くなったように感じます。

しかし、カフェなどで雰囲気を伝えたい写真は別として、本気で“商品の魅力を引き出したい”のであれば、ご自身で商品写真を撮ることを僕は勧めません。プロのカメラマンには、商品の魅力を最大限に引き出すスキルがあると実感しているからです。

上の写真をご覧ください。これは商品撮影の現場ですが、撮影商品は『カバン』です。トートバッグを撮るだけでも、これだけの機材を使います。特にカメラマンは、ライティング(照明の当て方)のプロでもあり、アングルだけでなく陰影を絶妙に調整しながら、商品が最も魅力的に見える方法を探り、シャッターを押します。

クライアントに実際に撮影に立ち会ってもらうと「自分で撮るのとは全く違いますね」「やっぱり餅は餅屋ですね」「こんなにプロの撮影に時間がかかるとは思っていませんでした」と、口々におっしゃいます。ちなみに昨日はバッグを10点ほどで、5時間もかかりました。ホームページでもパンフレットでも、写真は重要な素材です。商品の魅力を伝えるデザイン、文章、写真の3つが交わることで、商品が最も輝く姿になるのだと思います。

2012年9月6日木曜日

あなたの「志」は目に見えますか?


7年間のコピーライター時代を経て、いよいよ独立することになりました。コピーライターの外山佳邦(とやまよしくに)と申します。これまで多岐にわたる業界のキャッチコピーや商品コピーを依頼される中で、経営者から「会社のイメージづくり」や「商品のプロデュース」について相談をされることが多くありました。

その中で、感じたこと。

それは、中小企業にはデザインの力が必要である、ということです。デザインというと「装飾的なもの」と思われがちですが、装飾的なものを考える前に、まずは会社としてどうあるべきか、商品の魅せ方をどうするべきか、そのような本質から考えます。もし商品自体に魅力がなければ、商品企画から携わることもあります。

そして、経営者の「志」を見える化し、価値ある商品の魅力を正しく伝えることを、ここでは「ブランディング」と呼んでいます。ロゴマークやパンフレット、ネーミングやホームページなど、お客様が“触れるもの”のイメージを作っていくことで、その会社(商品)ならではの固有の“らしさ”を築いていきます。

日経デザイン(9月号)の特集にもあるように『顧客を呼ぶ「売り方」のデザイン』が、今の時代のキーワードだと思います。長期的なファン(顧客)を増やし、売れ続けるためには、ただモノを大量に売るだけではなくストーリーが大切なのです。お客様が、商品ができるまでの背景に共感し応援してくれるストーリーを「見える化」することがブランディングの大きな役割です。

独自の技術や熱い思いでモノづくりに励んでいる、中小企業や個人商店の魅力を世の中に伝えるために、これからがんばっていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。