2013年2月17日日曜日

気づかいのクオリティ


以前から感じていましたが、東京では紙のポスターが減って、デジタル化がかなり進みましたね。特に東京駅や品川駅は、相当な割合でデジタルサイネージ(電子看板)です。少し前のエントリー(印刷物は、無くなるのか)でも書きましたが、いまは紙からデジタルへの転換期なので、こうした流れを実感として把握することは、時代に合わせたブランディングを行うためにも必要だと考えています。

紙のポスターや看板でも、デジタルサイネージでも、「広告」という点では変わりません。しかし、デジタル化をすることで、朝・昼・晩など、時間帯で表示を替えることができます。また、静止画だけでなく、動画で表現できるのもデジタルの大きなメリットといえます。ポスターを差し替えるための人的労力も、デジタルの方が少なくて済むでしょう。

と、デジタル化のメリットを挙げましたが、ここまでは広告を掲載する側の話。それでは、受け手である「広告を見る側」は、どうでしょう。おそらく認識としては、ポスターを見るというよりは「テレビCM」を見るような感覚に近いのではないでしょうか。
左が紙のポスター、右がデジタルサイネージです。光の当たり方も影響していますが、発色だけを見ても、目に入ってくる強さが違います。ブランディングの観点からすると、露出が増えるとは、何かしらの印象を持つ人が増えるということです。しかも、受け手側にとっては「日常」や「景観」に影響を及ぼすので、不快な印象を与えてしまっては、マイナスなイメージが増大してしまいます。

いかにも広告らしい表現に関心すら持ってもらえない昨今では、デザインのクオリティに加えて、「気づかいのクオリティ」というか、発信側の都合だけではなく、受け手側の生活に、より配慮した表現が問われることになりそうです。

紙でもデジタルでも、クオリティは変わらず重要なことだと思うので、媒体に変化があっても、そこは変わらずということですね。人は便利な方に流れやすいのが世の常だとすれば、デジタル化の波はおそらく止まりません。紙とデジタル。経営者にとっても、デザインの制作者にとっても、この2つの使い分けが、今後10年の明暗を分けることになることでしょう。