と、デジタル化のメリットを挙げましたが、ここまでは広告を掲載する側の話。それでは、受け手である「広告を見る側」は、どうでしょう。おそらく認識としては、ポスターを見るというよりは「テレビCM」を見るような感覚に近いのではないでしょうか。
左が紙のポスター、右がデジタルサイネージです。光の当たり方も影響していますが、発色だけを見ても、目に入ってくる強さが違います。ブランディングの観点からすると、露出が増えるとは、何かしらの印象を持つ人が増えるということです。しかも、受け手側にとっては「日常」や「景観」に影響を及ぼすので、不快な印象を与えてしまっては、マイナスなイメージが増大してしまいます。
いかにも広告らしい表現に関心すら持ってもらえない昨今では、デザインのクオリティに加えて、「気づかいのクオリティ」というか、発信側の都合だけではなく、受け手側の生活に、より配慮した表現が問われることになりそうです。
紙でもデジタルでも、クオリティは変わらず重要なことだと思うので、媒体に変化があっても、そこは変わらずということですね。人は便利な方に流れやすいのが世の常だとすれば、デジタル化の波はおそらく止まりません。紙とデジタル。経営者にとっても、デザインの制作者にとっても、この2つの使い分けが、今後10年の明暗を分けることになることでしょう。