「分かる」と「感じる」は違う
言葉はあくまでも「道具」である。そう思うことがよくあります。言葉の力を過信しすぎると、「分かる」ことや「説明する」ことばかりを重要視して、人間の直感による「感性」の部分を見落としがちになるからです。
たとえば身近なところでは、Googleマップを見て行った気になるのは「分かる」こと。実際に現地に行って街を歩いてみるのは「感じる」ことです。街を歩いてみると、気候や街なみ、現地の人も含めて、その街を好きにことがありますよね。このことはデザインにおいても同じことが言えます。
例を挙げれば、名刺。ご自分で名刺を作ると、言葉で情報を詰め込もうとしがちです。言葉で「分かって」もらいたい。しかし、名刺には言葉のほかに、紙の種類、厚さ、書体、文字の配置、ロゴマークなど、さまざまな要素があり、受け取る側はそれらを総合的に「感じて」いるのです。つまり「私は信頼できる○○です」と言葉で載せるよりも、紙の厚さを厚くするだけで名刺を受け取った相手に「信頼できそうだ」と感じてもらえる可能性があるのです。
そして、「分かる」より「感じる」ほうが、人の記憶にはるかに残ります。
これからの時代は、論理的に長けた人よりも感性が豊かな人が活躍する時代。そして、その感性を支持するファンや顧客によってコミュニティができる。そのような時代にシフトしていくと考えています。