2013年4月29日月曜日

グローバルな兄と、ローカルな自分


ゴールデンウィークに突入して、世の中すっかりお休みモードですね。このブログもお休みモードということで、今日はプライベートなことについて綴りたいと思います。

たまにブログでも登場する「兄」について。僕には、二歳上の兄がいます。最も身近な尊敬できる人であり、最も身近な一生かなわない人でもあります。小学校の頃からあらゆる面で(特に勉学において)全くかなわない存在で、歳を追うごとにその差は開くばかり。高校の時には、すでに世界を視野に入れていて「日本は、俺に合わん!」といって、アメリカに渡米してしまいました(笑)

父が小さな町役場に務める公務員で、地元密着な我が家では、兄の行動力に当時は「ぽか~ん」とした感じでした。英語を全くしゃべれないどころか、アメリカに行ったことすらなかった両親は、「仕送りはするけど、手続きとか全部自分でやってね!」と、高校を卒業したばかりの兄に丸投げ。彼はその後、自力でカリフォルニアのバークレー校、マサチューセッツ工科大学の大学院に進み、現在はシリコンバレーでフラッシュメモリの研究職をしています。

今思えば、高校の時から兄はすでに「グローバル」だったということです。そして、自分は国際科という科にいながらも日本の大学を目指す「ローカル」でした。あれから10数年(きみまろ風にw)。高校当時のスタンスをスライドするかのように、やはり兄は「グローバル」、自分は「ローカル」を主戦に働いています。

とにかく自分にとって最大のメリットは、「全くかなわない相手が身近にいる」ということ。兄がもし居なければ、もっと自分の力を過信したこともあったでしょう。幼い頃から圧倒的な力の差を感じざるを得なかったので、知らず知らずのうちに、僕のモットーは「等身大」になっていました。表面上いくら背伸びをしたって、かなわない人には、かなわないことを身を持って知ったからです。

もうひとつ。兄から勉強を教わったことは1度もなく、分からないことを聞くと答えはいつも「自分で考えろ」でした。何度も何度も聞いても「自分で考えろ」の繰り返しで、おかげで自分で考えるクセがついて、今ではクリエイティブな仕事をなりわいとすることができました。感謝。

日本に帰国した際に、仕事観などについて話をしますが(難しい話は全くついていけません・・)どのタイミングで話をしても「あ、、自分が10年遅れている」と、気付かされることばかりです。“Think globally,Act locally”という有名な言葉がありますが、足元の小さな一歩を見失わずに、常に広い視野をこれからも兄から学んでいこうと思っています。

兄は本当に変わり者というか信念が強い人で、話題は尽きないので、また機会があれば綴ろうと思います。

2013年4月21日日曜日

くまモンの秘密

日経デザイン5月号『稼ぐ!キャラクター活用術』です。以前から「くまモン」と「ほかのご当地キャラ」には、決定的な違いがあると感じていたので、今日はその違いについて書きたいと思います。同じようにゆるキャラが語られている中で、実は「くまモン」にはヒットの理由があるのです。

行政の「覚悟」と「寛容」な姿勢
くまモンは、2010年に熊本県をPRするためのキャンペーン「くまもとサプライズ」のマスコットキャラクターとして発表されました。くまモンをデザインしたのは、グッドデザインカンパニーの水野学さん。ミッドタウン、NTTドコモ、宇多田ヒカルなど、名だたるクライアントを手がけるアートディレクターです。

熊本県からロゴマークのみのデザイン依頼を受けた水野さんは、熊本県をもっと効果的にPRする手法として「くまモン」というキャラクター戦略を提案。それを発注側である熊本県が、知事の判断で受け容れた形になります。

ここで、最も注目すべきは行政の判断です。ご当地キャラをはじめ、このような案件は公募によるものが一般的です。ゆるキャラを公募している自治体は、今でも数多くあります。しかし、公募の落とし穴として、選ぶ側に戦略的な専門家がいなければ、キャラクターを展開する上で戦略性に欠けるということです。くまモンにおいては、デザイナー側からの提案だったこと。キャラの提案は想定外だったけど(おそらく水野さんが著名で説得力もあり)行政が必要と判断したこと。つまり、「熊本県をPRするために必要な戦略」を取ったわけです。

デザインのクオリティを管理する
くまモン誕生当初からの担当課長は、本誌で次のように語っています。「無料で使用承諾している分、くまモンにとって、何かメリットがある使い方をしていただけるような提案を常に求めている。」許諾申請する際は、必ずデザインレビューを行い、官民が一体となってパッケージデザインに関わり、5〜6回打ち合わせることもあるそうです。これは、デザインの品質管理がされているということです。

狙ったところにヒットを打った
今や8000種類を超える商品に使われ、2012年に販売されたくまモン関連商品の売上は、200億円を超えています。水野さんは初めから「熊本県をPRするために」くまモンを提案したわけですから、正確な数字までは想定していなくても、このように爆発的なヒットになることを「ハードル」として考えていたと思います。つまり、ヒットを狙って打ったということです。

「熊本県をPRするために」くまモンは誕生したのであって、ほかのキャラクターに見られる「ゆるキャラを作ってPRすれば売れる」と、考えたわけではないということです。こうした成功例を見て、「おらが街にもゆるキャラを!」という事例があとをたちませんが、偶然生まれるヒットはあっても、狙いすましたヒットは、おそらくほとんど無いでしょう。それぐらい計算されたヒットだと思います。

こうして第三者的に見れば「見事なクリーンヒットだな〜」と感心するばかりですが、もちろん自分も、PRやデザインを提案する立場にあるわけですから、こうしたヒットを心の引き出しに入れて、今後に活かしていきたいと思います。

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2013年4月14日日曜日

空気感を共有する


ブランディングを担当しているクライアントの商談のため、東京まで同行してきました。デザイナーやコピーライターが、クライアントの商談にまで同行することは、一般的にあまりないことだと思いますが、同行することで見えてくる大切なことがあります。

手探り段階から「空気感」を共有する。
大企業には、営業や広報といった担当者がいます。しかし、少人数の中小企業においては、社長自らが営業や広報を兼ねているケースが、ほとんどです。最近では、下請けからの脱皮や、自社製品のブランド化を目指す企業が増えていますが、ものづくりには慣れていても、販売に関しては、すべて手探り。その状態(空気感)を共有することで、ブランディングの段階を正しく把握でき、方向性が定まりやすくなります。

観客席ではなく、試合に出る。
商品を企画する、パッケージをデザインする、流通にのせる、PRする。そのすべての行程で、デザインは必要とされます。「何をつくるか」が、最も大切であることは言うまでもありませんが、「どこで売るか」も、同じように大切なことです。

デザインというと「装飾」と捉えられがちですが、「モノの流れをデザインする」ことも忘れてはなりません。優れたモノを作れば黙ってても売れる時代では、もはや無いのです。もちろん、すべての商談に立ち会えるわけではありませんが、ブランド価値を上げるためにポイントとなる商談は、必ずあります。今回の商談は、これからの展開を見据えて、こちらから先方にアポイントを取り付けた次第です。

静岡県内では「ブランディングって何をするんですか?」と聞かれることが、まだまだ多いですが、東京では「ブランディングを担当しています。」と言うと、バイヤーやショップ担当者の方には、何の違和感もなく受け入れられます。地域にブランディングが根付くまで、まだまだ時間がかかりそうですが、あきらめずに「ブランディング」と言い続けたいと思います。夏頃には、ブランディングセミナーをやろうかなぁ。

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2013年4月7日日曜日

ACクルーズ

経営者と膝をつきあわせて事業計画の策定をサポートする「ACクルーズ」さんのロゴ・名刺をデザインしました。代表が高校の後輩ということもあり、起業段階から相談を受けていたので、会社名も提案し、採用していただきました。

ネーミング
「会計に強いこと」が特徴であると聞いたときに、そもそも会計や簿記のルーツはいつの時代になるのだろう、とふと疑問に思いました。調べていくうちに、中世ヨーロッパの大航海時代に、そのルーツを求めることができました。複式簿記は、15世紀にイタリアで生まれたそうです。そこから発想を得て、会計を意味するAC(ACCOUNT)と、時代を航海する意味を込めて「ACクルーズ」という会社名を提案しました。

ロゴマーク
事業計画をサポートするというサービスを聞いて、すぐに「羅針盤」が頭に浮かびました。どちらの方角を向いて経営を進めていくのか、その舵取りをサポートしていく。そのようなイメージです。新しい時代を切り開いていく会社にふさわしく、力強さと個性を感じさせる書体を選びました。
名刺
通常の名刺は、55×91mmが一般的なのですが、45×91mmと少し細めで作りました。これには意図があります。成島氏は、初めて会うとなかなか豪快そうに見えるのですが、会計を専門にするだけあって、細やかな気配りも持ちあわせています。名刺を細めにすることで、名刺を渡した相手に、繊細な印象がプラスして伝わるように配慮しました。写真では伝わりにくいですが、ロゴ部分は金の箔押しになっています。

まだまだ航海をスタートしたばかりの「ACクルーズ」。時代を変えるぐらいの情熱でクルーズし躍動できるように、これからの飛躍を期待しています。

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2013年3月31日日曜日

地域のブランディング


ある企画がきっかけで「地域のブランディング」について、深く考えることになりました。簡単に答えが出る話でもないので、まだまだ思考中ですが、備忘録として。

原石は、いつも足元にある。
風で木の葉が揺れている姿を見ているかのように、当たり前すぎて気づかない。その地域ならではの良さがあっても「うちの地域は何もない」とついつい言ってしまう。そのような無意識の謙遜の中に、地域の魅力が埋もれているように思います。

都会と比べて「便利さ」は足りないかも知れませんが、どんな土地でも、個性はあります。その土地で暮らす人が当たり前すぎて気づかない独自性こそ、地域を発信するうえでの「原石」となり得ます。

地域は、日本の資源である。
日本各地は決して金太郎アメのように同じではなく、景観や特産品など、それぞれ個性を持っています。日本では、高度経済成長期を経て「都会への憧れ」が強くなったように思いますが、田舎であることに誇りを持つこと。まず、その意識を取り戻すことが最も大切だと思います。

海外では、田舎でもその地域に誇りを持って暮らす人が多いと聞きます。まず誇りを持つことで、自分たちの個性に気づき、地方から独自の文化やムーブメントを発信する人が増え、日本全体の魅力が多発的に形成されると感じています。

まずは東京ではなく、いきなり世界へ。
たとえば、地方の特産品を売ろうとした時に、これまでの時代は、まず人口の多い都会への販路拡大を目指すのがセオリーでした。東京で売れ、世界を目指すというステップがあったように思えます。しかし、世界中どこでも瞬時につながるインターネットの発達や新しいサービスの拡大で、これからは、いきなり世界を目指すことのハードルがさらに下がります。地域→世界→東京、といった逆輸入的な売れ方が主流になっても、不思議ではありません。

その人がいなくなったら、困る。
結局、地域にはおいては「人」が一番の資源です。都会ではすぐに代わりの人が見つかるかもしれませんが、地方ではなかなかそうはいきません。甲子園常連校にはエース級のピッチャーがたくさんいるのに、普通の野球部にはエースは1人しかいないようなものです。地域をブランディングする上では、意志を持ってチャレンジをする人が、どれだけつながり、化学反応を起こすか、そこに地域力を高める鍵があると感じています。
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と、雑感を綴りましたが、これらを踏まえた新しい動きを、今年度中にスタートできるかもしれません。今からワクワクしています。また進展あれば、ご報告します。

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2013年3月23日土曜日

デザインの背景に「配慮」あり

日経デザイン4月号。特集は『リニューアルの極意』です。ブランドを一から立ち上げることが「新築」だとしたら、リニューアルは「リフォーム」。リフォームと同様に、すでに柱の位置(市場でのポジション)などが決まっているので、デザインを慎重に行わなければなりません。
カルビーの「フルグラ」。どこがリニューアルしたか分かりにくいですが、2009年(右)から2011年(中央)にかけて、商品名をリニューアルしています。フルーツグラノーラを「フルグラ」としたことで、圧倒的に呼びやすくなり認知もされやすく、売上が1.6倍になったそうです。要因はこれだけではないと思いますが、商品のネーミングは、戦略のひとつだと言えます。 ポイントは、2011年の時点で、フルーツグラノーラの既存の顧客がかなりいたと思われるので、新パッケージで顧客が迷わないように、デザインは多少の変更にとどめたことでしょう。
こちらは、Fits。これでもかというぐらい(毎年1回以上)パッケージをプチリニューアルしています。一見ムダな投資に思えますが、そこには戦略があります。Fitsの中心顧客層は、10代後半〜20代前半。若い世代をターゲットにしているだけに、「そんなガムが流行ったね」と、すぐに飽きられてしまう危険性があります。その対策として、パッケージを常に変化させることで“アクティブ”な印象を発信でき、若い世代を飽きさせないという戦略があるようです。

以前、小山歯科医院さんの記事で書きましたが、リニューアルのデザイン提案では、これまでの歴史や意志をしっかりと汲む必要があります。その上で、プラスアルファの要素を組み入れる。そのような繊細なスキルが求められると感じています。

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2013年3月17日日曜日

住建太子光|パンフレット


「実直」という言葉がぴったり当てはまるような、律儀で誠実な大工さんからのご依頼。磐田市の「住建太子光」さんのパンフレットをデザインさせていただきました。
初めてお会いしたときの生真面目な印象、仕事に対する真摯な姿勢から、デザインは、おのずと「余計な装飾をせず、誠実なイメージが伝わるもの」に、方向性を定めました。なにしろ写真から伝わってくる「丁寧な手仕事」が、まっすぐ伝わるべきだと感じたからです。
紙面は、写真とコピーのみで構成。「大工はやっぱり工夫すること。ただ作るだけじゃないんです。」と語っていた言葉が印象的で、「作るよりも、創るが信条」というキャッチコピーが、打ち合わせ後にすぐに浮かびました。仕事する上で大切にしている「信念」をお話いただき、それらを4つのキャッチコピーに落とし込みました。



特に気をつけたのは、文章の量。伝えたい思いが強すぎると、つい長文になってしまいがちですが、「文字のかたまり」が「全体の印象」を邪魔しないように、短く伝えることが大切です。あれも伝えたい、これも伝えたい、と文字が多くなりすぎると、何を伝えたいのかよく分からなくなり、読んでもらえなくなる可能性が高まるからです。
こうして第三者として客観的に「思い」をつむぐこと。最適な言葉を選ぶことこそが、コピーライターとしての役目だと日々感じています。「編集する」とは、まさに「言葉を編む」ことなのです。

パンフレットが完成してまだ2ヶ月ですが、さっそくパンフレットを目にした方から、新規のお仕事がいくつかお問い合わせあったそうで、制作者としても嬉しいご報告をいただきました。こうした「丁寧な手仕事」ができる職人さんが、少しでも多く活躍できる世の中になってほしいですね。今後のご活躍をお祈りしています。

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